その美しさを染める
本当は知っている。
貴女の持っている傷は
痛みとその後の優しさで少しずつ開放される。
違うものになってゆく。
一人で立ちすくむ過去の貴女の気高さが、
今は傷として残っているのだろう。
泣き叫ぶくらい、打ってあげたいよ。
白い鞭で強く。
黒い鞭で艶やかに。
でも、縄だけにすべての気持ちを注ぎ込んで
きつく縛るだけ。
貴女はちゃんと分かる。
小さく震えたり、ほんの少しのけぞったりする。
話さない。
今、たった7mのこの縄がこの世界で唯一の
言葉なのだ。
貴女は分かっている。
俺も知っている。
本当は怖いんだよね。
こちら側に深く深く入ってしまう自分が。
また、そこで傷を負う事が。
貴女なら、両手を広げて抱きとめてくれる人が
きっと沢山いるのに。
でも、貴女が選んだのは俺。
俺の縄と世界と時間。
さあ、いいよ。声も出さず、
小さく震えて、俺の言葉で
縛られていくといい。
その総てをなげだして。
顔をベッドに押し付けるだけで、
呼吸が止まる。
這って動く事も、、足が固定されているので出来ない。
それなのに、自分が命を預けている事に気付かない?
いや、その這いつくばった虫のようになっている自分が
とても落ち着くんだよね。
永久にほどいてほしくないくらいに。
貴女はとてもみんなに必要とされている人。
これからも、きっとそう。