2ntブログ

Welcome to my blog

癒縄 命羅のロープヒーリング

緊縛~癒しの力と美しさを求める人へ

  「貴女はゴミでもなければ、最底辺でもないよ。大切な○○」 第4話





 ヨシさんから連絡がきたのは、最初に会ってから十日くらい過ぎていた頃。

私の所有金額は四十万くらいになっていたが、元はといえばそのうち三十万はヨシさんがおいて行ってくれたものが基本になっている。

ヨシさんは、男が立たないそうだ。

だから、女性がプライドを脱ぎ捨てたり、支配の淵にそって深淵へと回って行くのをみたりするのが好きだそうだ。



syo4a.jpg




「住むところが、ないの。」

「ああ、そっか。」


 ヨシさんはマクドナルドの2階の窓際のカウンター席に私と並んで座り、そして、妙に納得顔で頷いた。


「家、住めるところ無料で貸してくれる人はいるよ。たまに、その人と友人や女達が来るけど、半年に一回か二回くらい。その間だけ、でかけてもいいし、多分、一緒にいても大丈夫なはず。」

「え、どういう事。どんな人なの。」

「あー、なんていうか、師匠的な人の友達。っていう感じかな。」

 私はなんだか可笑しくて笑った。

「ええ、あははっ。何々、師匠的な人も謎だし、っていう感じも曖昧すぎー。」

 ヨシさんはちょっと困った顔をして、一口アイスコーヒーをすすり、私の目を真剣に見た気がした。

「あー、家の持ち主はさ、絵本作家さんで、有名な人なんだよね。天飛 京(アマトビ キョウ)っていう人で、なんだっけな、ウサギの話とか、絵本で見るイエス様だったかな、なんかそういうのが二百万部売れたとかなんとか、、、知ってる?」

 私でも知っていた。小学校に上がる前に、クリスマスにサンタさんからもらった袋に絵本で分かるイエス様とかなんとか、そういう絵本が入っていた。寝る前に母に偶に読んでもらっていた。

「ええ、めっちゃ知ってる。知ってますけど。なんで、なんでその人が家をかしてくれるんですか、変じゃないですか。」

「あー、それはね。俺ね。縄の人なの。」

ちょっと意味が解らなかった。縄の人ってなんだろ。

「女の人を縛ったり、固定したりするのが好きな人って言ったらわかりやすいかな、とにかく縛る人。」

「え、亀甲縛りとかできるの?」


二秒ほど沈黙があり、ヨシさんは大声で笑いたいのを堪えた顔になり、そして小声で笑うことに成功した。

「いや、できるけどさ。亀甲縛りはね、皆が思っているやつとは違うよ。世間で思っているのは多分、菱縛りっていうやつで、菱型の縄が体の中央をはしっているやつ。本堂の亀甲は六角形がつらなっているんだよね。しかも、ちゃんと縄を勉強した人々には少し受けが良くない気がする。何種類もやり方はあるんだけど、一番簡単な方法だと、RIOちゃんでも三分で覚えられるんだよね。」

「え、そうなんだ。っていうかヨシさん、突っ込みどころ満載で何を聞けばいいのか分からなくなった。」

ヨシさんは少し考えた。

「師匠的な人は、命(めい)さんっていう人で、別に師匠でもないんだけど、初めて縄を教えてくれた人で、縄の講習会やっていたり、SMショーに出たりしている人なんだ。で、京さんは命さんの友達で、絵本作家だけど、プロの縄師、つまり緊縛師なわけだ。」


「アマトビ キョウ」


 そう呟いて私は携帯の画面を開いた。




続く

0 Comments

Add your comment