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癒縄 命羅のロープヒーリング

緊縛~癒しの力と美しさを求める人へ

 「貴女はゴミでもなければ、最底辺でもないよ。大切な○○」 第2話


 持っているお金では、どこかに泊まることもできない。

ネカフェで夜をやり過ごそうかとも思ったけど、せっかく完全な自由になった夜だ、ベッドで寝たり、お風呂にはいったりしたかった。

かなり、時代に取り残された古いアンドロイドの携帯で、出会い系サイトに書き込んでみた。

短めにまくったミニスカートと脚を画像にのっけて、条件を書いた。土曜の夜のせいかもしれないけど、一時間で十五件応募が来た。

ホテル代を別にして一回二万円の募集だ。

丁寧な文章の人と三往復くらいメッセージをやり取りして、ホテル街の近くのペンギンのアンドンが入口にあるビルの前で待ち合わせした。



 私は夏らしい、と、思うが、白い半袖の普通のブラウスとバーバリーみたいなチェックの水色系のミニスカート、白いノンブランドの少し汚れたスニーカーで相手が来るのをまった。

素敵な下着などはない。

ただのグレーのパンツは何の特徴もないシンプルなもので、ブラはそれ以前の立ち位置のサイズが少し小さい白いスポーツブラだった。

それでも、ここで相手がこなければ、私は生きていけないと感じていた。

だから、約束の時間の五分前にブルーの半袖のボタンダウンシャツに黒い七分丈のパンツ、ナイキのスニーカーの彼が現れた時はうれしかった。

一七五センチ、六五キロと言われていたが、瘦せていた。

おそらく六〇キロはなさそうだった。

短めでおでこの上で二つに分けて持ち上げた感じのヘアスタイルは爽やかな印象を受けた。私のミドル丈の黒髪が夏の風になびいて彼を迎えた気がした。

 ヨシさんは二八歳だと言った。

自営業で動画や音楽を作って生きているって話してくれていた。

見た目もそんな感じだった。

私は、女子大生ということにして、お金を貯めて自分のアクセサリーショップを出したいと嘘をついた。

ヨシさんがハンバーグの店に連れていってくれた。



 すぐにホテルに行かないところも私の中で嬉しいポイントだった。

連れて行ってくれたハンバーグのお店は通りに面してガラス張りで、そのガラスにそってカウンターがあり、外を見ながら、または見られながらのお店。

鉄板にのっかった熱々のハンバーグが音を立てて目の前に置かれて、付け合わせの多めのナポリタンや、程よい油を見せつけるフライドポテトとフライドブロッコリーが私の胃袋を打ち抜いた。

ジンジャーエールのスプラッシュを感じながらヨシさんの話を聞く。

「ねえ、RIOちゃん、二十歳だと、まだ、したことない、経験してみたい、知りたい事とか沢山あるでしょう。なにか、俺にかなえさせてくれない?」

「え、経験したことのない事。なんだろう、何を経験してないのか、わからない。」

 そりゃそうだよな、ってヨシさんは笑い、少し静かになり、三秒ほど間をおいた。

「俺はね。結構ワルイやつなんだよ。」

 私の背中に少しだけ、氷の線が引かれた気がした。

「俺はね、ダメになっていく女を見るのが好きなの。だから、今日、ここを出たら、RIOちゃんに予定の十倍のお金をあげる。そして、ホテルにはいくけど、何もしない。ただ、お風呂入ったり、VODで好きな映画みたり、おやつ食べたりして、のんびり過ごそう。ただ、何もしないけどRIOちゃんは一切の服を着ないでね。」



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 私の背中の氷はとけたようだ。

一体それのなにが、女をダメにするのか、私には分からない。

そう、解らなかった。

普通はわかるのだろうか、犯されることもなく、ただ裸なだけのどこがいけないのか。

私たちは、札幌で一番か二番かと言われるオシャレなレジャーホテルに入った。

札幌の七月は例年になく夜も熱く、ホテルの部屋のエアコンがとてもきもち気持ち良かった。



 うん、抱きしめられもしなかったけど、心が解れたかな。SMにはこれから出合うの。




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