「貴女はゴミでもなければ、最底辺でもないよ。大切な○○」 第3話
次の日は、時代に取り残されたアンドロイドの携帯で素敵なホテルを予約した。
館内に温泉とか大浴場とかがあり、一回にはアウトドアでグランピングしているような感覚になるレストランがある素敵なホテルだ。
チェックインは一四時だったので、一〇時に一人でレジャーホテルをでたあとぶらつく。
ヨシさんは朝七時には仕事あるからって出て行った。
一〇倍おいていくって言っていたけど、一五倍おいてあった。
私は、服を買った。札幌の街の中心部のブティックみたいなところで私なんかが、服を買うなんて、想像できない、でも頑張って、お店の扉をあけて、明るいけど落ち着いた感じのお店に入ってみた。
とても素敵なお店だったけど、ミニスカートはなくて、膝丈くらいの黒いのと、パンプスと夏らしいブラウスみたいなのを買った。それだけで六万円を超えた。人生で一番高い服を買った。
で、その日は、素敵なホテルでお風呂にゆっくりつかって、一階のレストランで一人だったけど一万円くらいするディナーを食べて、明日、一緒にいてくれる人を募集して、フカフカのベッドで眠った。
明日の予約なんて、二十分でできた。
でも高い服は着ていきたくなかったのでファストファッションの店にいき、下着や服をかってから会うことにしよう。私は体を売って生きてはいきたくないのだ。だから、仮の私をつくる。
ろくな男がいない。
あれから五日が過ぎたが、私は自分の価値が、いや、元々最低だったが、更に下がった気がしている。
これは不毛だった。私は射精の道具でしかなくて、唯々すきなように、雑につかわれたりした。生でする事を強要されたりもした。
まあ、なれっこだけど。
勿論、技術的に優れた人や、気遣いの上手な男もいたけど、結局、私の心をどんどん乾かすだけの存在だ。肉体の快楽は時として気休めになるが、それは一回会っただけで心の安らぎや本来のイトオシサに直結しない。
頭では分かっていたし、そんなのも最低の行為で、しかも自分で仕掛けている事もわかっている。豚だ。私は最低の豚。
いや、ごめん、豚に失礼だったよね。
豚は綺麗好きで、しかもみんなのお腹を満たすこともできる。
私は絶対に豚よりも生きる意味がない。
それでも私が帰れないのは、石狩の家には背中に絵を描いた人が何人か定期的に来るからだと思う。
父がいなくなった理由はお金の問題だろう。
そして、母の体や、私の体で払っていたと思う。
そして、原因はなくならないのに、父はいなくなり、私だけが残った。
つまり彼らのはけ口として使われ続ける可能性が、あの家にはあった。
だから、帰りたくない。
お金を手っ取り早くふやして、どこかに部屋を借りて住むしかないと思った。
手持ちは三十万くらいだ。不動産会社にいく。
「あー、ご両親がいない。フリーターですか。そうですか、だれか連帯保証人になってくれる方はいますか。または保証会社の保証人欄に署名いただける方が必要ですよね。」
これだ、私は本当に世間を知らない。
保証人の事など思いつきもしなかった。
それはそうだろう。学校に通うこともろくにできず、毎日、父や、そちら側の人に犯されて生きてきただけで、世間に通用する知識や常識に大きくかけている。
高校には一応在籍したし、なんとか通信制に転校して卒業したけど、基本的に相手にしたくない男のモノを咥え込んでなんとかその日を死なずにやり過ごしてきた私だ。
常識などあるはずもない。
心が痛い。
私は本当にゴミなんだなって思う。
学歴も特技もない。
いや、あるか。
バキュームフェラ。肉親を含んだ複数プレイ、嫌いな男でも逝ける体、あと全穴奉仕。父と八九三に仕込まれた手技。
ねえ。ほんとうに泣いていい?
続く
(この小説は本来縦書きのものを横にペーストして掲載しています。)