存在証明第13話
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とにかく、私は高校生だったが、淫乱だった。妄想だけはまるで一線級のエロ女。二十五歳の彼に尽したくて、壊されたくて、その上で愛されたかったし、彼の存在自体が全てになっているのだった。でも現実は結構違っていた。彼は、確かに変な人だったが、サディストや征服欲の人ではなく、はっきりとマゾヒズムに傾倒している人だったのだ。私達は、何度か普通に交わった。初めての時は勿論痛かったし、血も出た。五回目くらいから、少しだけ、挿入の一体感みたいなものを感じて安心したり、嬉しくなったりするようになった。でもある日、ホテルで彼に強要された事で、私はびっくりした。私の妄想の逆を言われたからだ。
「ねえ。洋子。俺の顔にまたがって、直接口に押しつけて、おしっこ飲ませて。」
私は、ホテルの床に楽しそうに寝転がった彼の顔面に、和式便所の様にしゃがみ、女性自身を口に押しつけた。彼は口をあけて、待っている。でも、すぐになんて、出ない。もともと私が彼にしてほしかったのだし、人前でおしっこをする事自体が初めてなのだ。しかも、自分の好きな人の口にするのだから、緊張やら、困惑やら、当然恥ずかしさ等もあり、出すのは時間がかかった。多分、三分とか五分とかかかっただろう。やがて、出る感じになり、その旨を告げると、股の下でくぐもった情けない感じの彼の声がした。
私は放尿した。なんだか、とてもがっかりして、腹も立った。だから、止めたりしないで一気に放出した。おそらく、彼の口はすぐにいっぱいになったのだろう。飲み込む音もしていたが、床にも沢山こぼれて、私の足も彼の髪も濡れていた。薄くアンモニア臭がして、私は更に不快になった。出し終わって、無言で立ち上がり、彼から離れて、彼を見ると、恐ろしい程に彼自身はたぎって起立していた。私は、腹がたって、なんだか、酷いことをしたくなった。だから、彼が恍惚の表情を浮かべて目を閉じている間に、裸足の右足で彼の立ち上がった男を軽く踏みつけた。彼は、情けない感じの声を出した。五十音の二文字目の音を鼻なのか、口なのか、とにかく漏らして、私が続けて、右足で踏み回すと五十音の最初の文字と二文字目をランダムで発し続けた。これが、私の妄想した相手の本当の姿なのかと思うと、涙が出てきた。私がされたいのだ。跪いて、口をあけさせられて、彼のを口にぶちこまれて、そのまま、公衆便所のように口の中に彼の聖水を注がれる。私は飲んだりこぼしたり、こぼれたのを体に塗りたくったりしながら、女性の核をいじって登りつめそうになり、彼にしかられる。罰として、お尻が腫れるくらい叩かれる。許して欲しくて、許しを乞うと、交換条件で目の前で豚になって彼の唾や尿をかけたサラダやケーキをぐちゃぐちゃにしたものを犬皿で、彼が足でかき混ぜてぐやぐちゃにしたそれを豚のように全部食べろ。食べながら自分を慰めろと命令される。生野菜とケーキと彼の唾と尿が混じった餌を食べながら、慰めるところを鑑賞されたい。されたかった。
でも、飲ませたのは私。彼を踏みつけたのも私。その後、会う度に私は、いじめる事を覚えさせられた。後華に指を入れてかき混ぜる。言葉で、情けない男だと罵倒する。彼が達しそうになると、まだだめだ、この猿。乳首に洗濯バサミをはさんで一時間私の女性自身を舐めた彼にご褒美の言葉。全て、彼に強要されて実行した。全部私がさせられたい事を、私がやらせた形になった。沸きたて、熱々のヤカンを南極点の氷の中に埋めるみたいに、私の温度が下がっていった。
「洋子の出したものが、食べたいんだ。」
私は、その日、強制されるまでもなく、ひざまずいて、そうお願いしてきた彼の頭を鷲掴みにした。震えながら興奮している彼に、平手を二発入れ、顔面に唾を吐きかけて、トキメイタ顔の彼から、離れた。荷物をもって、自動会計システムにお金を突っ込み、ドアロックがはずれて、走ってホテルから出てきた。多分、彼は、何かのプレイだと思って、ひざまづいたまま待っていたのだろう。二度と会わなかったし、連絡先も消した。着信も拒否したし。泣かないでいた。泣きたくなかった。家について、部屋に入るまでは。
処女を捧げるという感覚は無かったが、思い出としては苦かった。
大学の二年の時に、京様に初めてあった。私の大学ははっきりいって素敵なところだったのだ。面白い教授が沢山いて、中でも人文科学の教授は実社会で存在する職業をいろんな形で紹介してくれるユニークな抗議をした。工事現場の職人さんを呼んで、足場を組むところを実際に見せてくれたりした。グラフィックデザイナーさんが、3Dキャラクターを動かすところも投影して見せてくれた。他にも国会議員さんの1日を秘書の方がきて、説明してくれたり、株式市場の成り立ちをディーラーさんを呼んで説明してくれたりした。そして、夏休みも近いある日。大講堂の前方の席に一人で座っていた私は驚いた。
「えー。今日は、SMの世界でお仕事をされている方達をお招きしています。このジャンルのお仕事をされている方は、えーと。」
教授は手元の資料をざっと見て続ける。
「年収は極めてばらばらです。女王様としてSMクラブなどて働いても全然稼げない人もいますが、稼ぐ人は月に百万単位で稼いだりもします。緊縛師というジャンルの方もいらっしゃって、SMショーや緊縛講習などで、海外でも活躍されているかたは年収で1千万を超える方もいらっしゃいます。が、多くの方は、副業でやってらっしゃる場合が多いようです。今日いらしてくださった緊縛師さんは天飛 京さんという方で、全国的にショーや講習会で知られている方です。お相手の女性は今日の為にショーのスケジュールの合間を縫って来てくれました方で、アンジュさんとおっしゃいます。では、登場していただきまして、SMショーなるものを皆さんに見ていただこうと思います。照明さん、音源さん、準備はいいですか。はい。いいようですね。ではお願いします。」
教授が引っ込むと、講堂はくらくなり、薄黄色いスポットライトに照らされる中、首に縄をつけて、まるで首輪で引かれるようになったアンジュさん、強くひくように歩いてくる京様が三味線の音と共に登場した。行動はざわめきと驚嘆に包まれた。京様は作務衣、黒の作務衣に茶色のサングラス。髪はオールバック風にまとめられていて、精悍だった。草履もなんだか、とてもマッチしていた。アンジュさんは薄いピンクの襦袢だっただろうか。二人の秘めやかでかつ、静かな登場は想像していたSMの世界とは全然ちがっていて、なんだか、アートですらあった。
ステージの真ん中辺りでアンジュさんの首についた縄を下に引っ張ると、アンジュさんは崩れるように床に座った。あまりにもスムーズな流れで首の縄を解くとそれを使って、今度は両手を後ろ側に縛りだした。京様はカッコイイ以外の表現が無かった。胸の上のほうに二重に縄を回して後ろでなんだか結んでいる風だったが、そのキツサなのか、縄の感覚なのか、アンジュさんは目をつぶってクラクラしていた。緩急とでも言えばいいのか、京様は背中側で何かをする時は素早く、むしろ荒々しく、体の全面を縛るときは、最高の愛撫をするが如く優しく縛っていった。あっという間に、お奉行様の前に引き出される罪人のような縛りが出来上がり、天井から吊るされた登山用具のカラビナに背中から出た縄が固定された。講堂だからだろうと思ったが、京様はアンジュさんの襦袢の襟から胸にかけてを女性の二つの突起が見えない程度に広げた。その妖艶さとじれったさに大講堂にため息がこだました。それから、襦袢の裾を大胆にめくった。右膝のちょっと上あたりに縄がかかり、左も同じくなった。カラビナを足したと思うとそこに縄尻をひっかけて、あっという間に、まるで空中で和式トイレにしゃがんだみたいにアンジュさんは吊られた。股間にはシメコミといわれる白い褌みたいなものをしていたと思う。そこから、腰にも縄をまわして、体を支える縄を付け足したあと。鞭。鞭、鞭。京様は今思えば、大学生の為に、色々配慮していたのだろう。バラ鞭だけを使い、大きな音を講堂に響かせ続けた。アンジュさんは人間の女がこんな艶めいた声を出せるのかと思うような妖しく美しい、それでいて淫猥な声を出し、講堂全部を桃色に染め上げていく。鞭をやめた京様がアンジュさんの後ろにわまり両太もものうち側に手を伸ばしたと思った瞬間、アンジュさんの両足は其々外側をまわりお尻の後ろに回った。つまり、アンジュさんは空中での和式トイレ風から、いきなり地面と水平に、うつ伏せで寝たような形になった。そこで、赤い蝋燭、熱い雫だ。雫、雫。捲れあげられた襦袢はもう、太ももを隠す事もなく、その豊かな妖艶な両足からお尻にかけての部分に、これでもかというくらい蝋が垂らされた。私だけではない。見ていた男の子達の内、何割かは、起立を抑えられなかっただろう。私は、確実に近所のコンビニに下着を買いに行くレベルに濡れた。勿論、嫌悪する人もいれば、泣きそうになる子もいたろうが誰も声を出したりせずに、見入っていた。やがて、足首をカラビナのほうに高く吊られたアンジュさんの背中の支え縄が解かれると。彼女は空中で逆さまになった。
気絶しそうだった。下半身の美しさ。逆さまにされて、血が昇った表情。優しく蝋をさわって落としていく京様の指使い。二人の呼吸。彼女の吐息。私は、このあとを覚えていないくらいトキメイテいた。
座談会があった。ショーの後、京様達を囲んで百人以上が参加した。その中で京様が私の大好きな絵本作家だという事がわかった。その事務所は家の近くでよく知っている。もう、私は就職はそこ一本にしようと決めていた。だから、半年ちょっと過ぎる頃、京様に面接で会ったのだ。私は死ぬほど一生懸命働く事を決めていた。京様に一ミリでも多く気にって貰うためにだ。あとは、札幌の夜まで一直線だった。私はついに、一生支える人に出会ったのだった。
続く
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「ねえ。洋子。俺の顔にまたがって、直接口に押しつけて、おしっこ飲ませて。」
私は、ホテルの床に楽しそうに寝転がった彼の顔面に、和式便所の様にしゃがみ、女性自身を口に押しつけた。彼は口をあけて、待っている。でも、すぐになんて、出ない。もともと私が彼にしてほしかったのだし、人前でおしっこをする事自体が初めてなのだ。しかも、自分の好きな人の口にするのだから、緊張やら、困惑やら、当然恥ずかしさ等もあり、出すのは時間がかかった。多分、三分とか五分とかかかっただろう。やがて、出る感じになり、その旨を告げると、股の下でくぐもった情けない感じの彼の声がした。
私は放尿した。なんだか、とてもがっかりして、腹も立った。だから、止めたりしないで一気に放出した。おそらく、彼の口はすぐにいっぱいになったのだろう。飲み込む音もしていたが、床にも沢山こぼれて、私の足も彼の髪も濡れていた。薄くアンモニア臭がして、私は更に不快になった。出し終わって、無言で立ち上がり、彼から離れて、彼を見ると、恐ろしい程に彼自身はたぎって起立していた。私は、腹がたって、なんだか、酷いことをしたくなった。だから、彼が恍惚の表情を浮かべて目を閉じている間に、裸足の右足で彼の立ち上がった男を軽く踏みつけた。彼は、情けない感じの声を出した。五十音の二文字目の音を鼻なのか、口なのか、とにかく漏らして、私が続けて、右足で踏み回すと五十音の最初の文字と二文字目をランダムで発し続けた。これが、私の妄想した相手の本当の姿なのかと思うと、涙が出てきた。私がされたいのだ。跪いて、口をあけさせられて、彼のを口にぶちこまれて、そのまま、公衆便所のように口の中に彼の聖水を注がれる。私は飲んだりこぼしたり、こぼれたのを体に塗りたくったりしながら、女性の核をいじって登りつめそうになり、彼にしかられる。罰として、お尻が腫れるくらい叩かれる。許して欲しくて、許しを乞うと、交換条件で目の前で豚になって彼の唾や尿をかけたサラダやケーキをぐちゃぐちゃにしたものを犬皿で、彼が足でかき混ぜてぐやぐちゃにしたそれを豚のように全部食べろ。食べながら自分を慰めろと命令される。生野菜とケーキと彼の唾と尿が混じった餌を食べながら、慰めるところを鑑賞されたい。されたかった。
でも、飲ませたのは私。彼を踏みつけたのも私。その後、会う度に私は、いじめる事を覚えさせられた。後華に指を入れてかき混ぜる。言葉で、情けない男だと罵倒する。彼が達しそうになると、まだだめだ、この猿。乳首に洗濯バサミをはさんで一時間私の女性自身を舐めた彼にご褒美の言葉。全て、彼に強要されて実行した。全部私がさせられたい事を、私がやらせた形になった。沸きたて、熱々のヤカンを南極点の氷の中に埋めるみたいに、私の温度が下がっていった。
「洋子の出したものが、食べたいんだ。」
私は、その日、強制されるまでもなく、ひざまずいて、そうお願いしてきた彼の頭を鷲掴みにした。震えながら興奮している彼に、平手を二発入れ、顔面に唾を吐きかけて、トキメイタ顔の彼から、離れた。荷物をもって、自動会計システムにお金を突っ込み、ドアロックがはずれて、走ってホテルから出てきた。多分、彼は、何かのプレイだと思って、ひざまづいたまま待っていたのだろう。二度と会わなかったし、連絡先も消した。着信も拒否したし。泣かないでいた。泣きたくなかった。家について、部屋に入るまでは。
処女を捧げるという感覚は無かったが、思い出としては苦かった。
大学の二年の時に、京様に初めてあった。私の大学ははっきりいって素敵なところだったのだ。面白い教授が沢山いて、中でも人文科学の教授は実社会で存在する職業をいろんな形で紹介してくれるユニークな抗議をした。工事現場の職人さんを呼んで、足場を組むところを実際に見せてくれたりした。グラフィックデザイナーさんが、3Dキャラクターを動かすところも投影して見せてくれた。他にも国会議員さんの1日を秘書の方がきて、説明してくれたり、株式市場の成り立ちをディーラーさんを呼んで説明してくれたりした。そして、夏休みも近いある日。大講堂の前方の席に一人で座っていた私は驚いた。
「えー。今日は、SMの世界でお仕事をされている方達をお招きしています。このジャンルのお仕事をされている方は、えーと。」
教授は手元の資料をざっと見て続ける。
「年収は極めてばらばらです。女王様としてSMクラブなどて働いても全然稼げない人もいますが、稼ぐ人は月に百万単位で稼いだりもします。緊縛師というジャンルの方もいらっしゃって、SMショーや緊縛講習などで、海外でも活躍されているかたは年収で1千万を超える方もいらっしゃいます。が、多くの方は、副業でやってらっしゃる場合が多いようです。今日いらしてくださった緊縛師さんは天飛 京さんという方で、全国的にショーや講習会で知られている方です。お相手の女性は今日の為にショーのスケジュールの合間を縫って来てくれました方で、アンジュさんとおっしゃいます。では、登場していただきまして、SMショーなるものを皆さんに見ていただこうと思います。照明さん、音源さん、準備はいいですか。はい。いいようですね。ではお願いします。」
教授が引っ込むと、講堂はくらくなり、薄黄色いスポットライトに照らされる中、首に縄をつけて、まるで首輪で引かれるようになったアンジュさん、強くひくように歩いてくる京様が三味線の音と共に登場した。行動はざわめきと驚嘆に包まれた。京様は作務衣、黒の作務衣に茶色のサングラス。髪はオールバック風にまとめられていて、精悍だった。草履もなんだか、とてもマッチしていた。アンジュさんは薄いピンクの襦袢だっただろうか。二人の秘めやかでかつ、静かな登場は想像していたSMの世界とは全然ちがっていて、なんだか、アートですらあった。
ステージの真ん中辺りでアンジュさんの首についた縄を下に引っ張ると、アンジュさんは崩れるように床に座った。あまりにもスムーズな流れで首の縄を解くとそれを使って、今度は両手を後ろ側に縛りだした。京様はカッコイイ以外の表現が無かった。胸の上のほうに二重に縄を回して後ろでなんだか結んでいる風だったが、そのキツサなのか、縄の感覚なのか、アンジュさんは目をつぶってクラクラしていた。緩急とでも言えばいいのか、京様は背中側で何かをする時は素早く、むしろ荒々しく、体の全面を縛るときは、最高の愛撫をするが如く優しく縛っていった。あっという間に、お奉行様の前に引き出される罪人のような縛りが出来上がり、天井から吊るされた登山用具のカラビナに背中から出た縄が固定された。講堂だからだろうと思ったが、京様はアンジュさんの襦袢の襟から胸にかけてを女性の二つの突起が見えない程度に広げた。その妖艶さとじれったさに大講堂にため息がこだました。それから、襦袢の裾を大胆にめくった。右膝のちょっと上あたりに縄がかかり、左も同じくなった。カラビナを足したと思うとそこに縄尻をひっかけて、あっという間に、まるで空中で和式トイレにしゃがんだみたいにアンジュさんは吊られた。股間にはシメコミといわれる白い褌みたいなものをしていたと思う。そこから、腰にも縄をまわして、体を支える縄を付け足したあと。鞭。鞭、鞭。京様は今思えば、大学生の為に、色々配慮していたのだろう。バラ鞭だけを使い、大きな音を講堂に響かせ続けた。アンジュさんは人間の女がこんな艶めいた声を出せるのかと思うような妖しく美しい、それでいて淫猥な声を出し、講堂全部を桃色に染め上げていく。鞭をやめた京様がアンジュさんの後ろにわまり両太もものうち側に手を伸ばしたと思った瞬間、アンジュさんの両足は其々外側をまわりお尻の後ろに回った。つまり、アンジュさんは空中での和式トイレ風から、いきなり地面と水平に、うつ伏せで寝たような形になった。そこで、赤い蝋燭、熱い雫だ。雫、雫。捲れあげられた襦袢はもう、太ももを隠す事もなく、その豊かな妖艶な両足からお尻にかけての部分に、これでもかというくらい蝋が垂らされた。私だけではない。見ていた男の子達の内、何割かは、起立を抑えられなかっただろう。私は、確実に近所のコンビニに下着を買いに行くレベルに濡れた。勿論、嫌悪する人もいれば、泣きそうになる子もいたろうが誰も声を出したりせずに、見入っていた。やがて、足首をカラビナのほうに高く吊られたアンジュさんの背中の支え縄が解かれると。彼女は空中で逆さまになった。
気絶しそうだった。下半身の美しさ。逆さまにされて、血が昇った表情。優しく蝋をさわって落としていく京様の指使い。二人の呼吸。彼女の吐息。私は、このあとを覚えていないくらいトキメイテいた。
座談会があった。ショーの後、京様達を囲んで百人以上が参加した。その中で京様が私の大好きな絵本作家だという事がわかった。その事務所は家の近くでよく知っている。もう、私は就職はそこ一本にしようと決めていた。だから、半年ちょっと過ぎる頃、京様に面接で会ったのだ。私は死ぬほど一生懸命働く事を決めていた。京様に一ミリでも多く気にって貰うためにだ。あとは、札幌の夜まで一直線だった。私はついに、一生支える人に出会ったのだった。
続く